RSウイルスの感染による呼吸器症状がメインの感染症です。生後1歳までに半数が、2歳までにはほぼ全員が感染すると言われています。初めて感染した場合は症状が重くなりやすく、特に生後2か月以内では呼吸を止めてしまう無呼吸発作を起こすこともありますので、新生児のいるご家庭では要注意です。生後6か月以内のお子さんが感染した場合にも細気管支炎を起こしやすく、母乳あるいはミルクの飲みがよいか、咳や鼻水で呼吸が苦しくないかどうかを注意深く見守る必要があります。家族特に集団生活をしている兄弟から感染することが多いので、手洗い・アルコール消毒・うがいなど新型コロナ対策と同様の対策をしてください。
通常冬に流行しますが最近では秋から、場合によっては夏から流行が始まることが多くなっています。今回東京ではGW以降患者数が増え、すでに季節外れの流行が始まっています。これは昨年新型コロナの流行で、いつもみられるウイルス感染症が1年以上発生しなかった影響と考えられています。南半球のオーストラリア、アメリカでも同じ傾向です。
〇症状 発熱・鼻汁・咳・ぜーぜー(喘鳴ぜんめい)
4~5日の潜伏期ののち、多くは1週間前後で改善します。多くは2~3日前後の発熱で軽症で済みますが、重症になると咳がひどくなったり、ぜーぜーがひどくなり、気管支炎から肺炎を起こし入院が必要になることがあります。
〇経過中の受診の目安
咳・ぜーぜーがひどく夜も眠りにくい時
水分がうまく取れずに、おしっこの出かたも少なく、活気がない場合
状況により入院をお勧めする場合があります
〇治療
抗ウイルス薬など、特効薬はありませんので、気管支を広げるお薬や、鼻水・痰の粘調性を整えるお薬を処方することがあります。ワクチンはありません。
〇家庭でのケア
発熱:薄着にして、首筋や脇の下を保冷剤などをガーゼやタオルでくるんで冷やしてください。それでも38.5℃以上を目安にして、発熱のためにぐったりしているようでしたら解熱剤を使用してもかまいません。
咳・ぜーぜー:お子さんを普通に寝かせると、肺が広がりにくいため呼吸が苦しくなりやすいです。バウンサーあるいは背中から頭にかけて布団などで角度をつくり上半身を起こすようなポジションで寝かせてください。肝臓が下がり、肺が広がりやすくなるため呼吸が楽になります。乳幼児は抱っこをせがんできますが、このような場合は甘えているのではなく、立て抱きの方が呼吸が楽になるからです。お子さんがそれで楽になって寝やすいのならば、抱っこしながら大人も寝てしまった方が、かえってお互い睡眠がとれることが多いです。
〇登園の目安
登園の目安は、「呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと」です。
保育所は、乳幼児が集団で長時間生活を共にする場です。感染症の集団での発症や流行をできるだけ防ぐことで、一人一人の子どもが一日快適に生活することが大切です。
登園の目安を参考に、かかりつけ医の診断に従い、必要に応じ登園届(港区ではB票の保護者が記入)及び提出をお願いします。お子さんの登園に不安のある場合は、かかりつけ医への相談をおすすめします。
※登園届は、一律に作成・提出する必要があるものではありません。各地域・保育園によって取りきめがありますので、保育園あるいはかかりつけ医にお問い合わせください。
現在、港区ではRSウイルスが大流行しています。成人、高齢者もかかることがありますし、高齢者の施設でも集団発生して肺炎で命にかかわることがありますので、こどもとお年寄りにとって気を付けなければならないウイルスです。
予防法は基本的には新型コロナ対策と一緒です。新型コロナウイルス以外にも注意しなければならない感染症は数多くあることを知っていただければと思います。