ＧＷが明けて新しいステージが始まろうとしています。国内の連休中の人出により、またアメリカからのBA2の亜種、アフリカからのBA4あるいはBA5が入り、感染者数が再び増えることが予想されます。日本においては、従来のデルタ株までの新型コロナ感染症では過去の季節性コロナウイルスへの交差免疫のおかげで、ある程度抵抗力があった可能性があります。しかしながらオミクロン株ではウイルス自体の感染性が高まっていること、ウイルスに免疫回避的な性質があるので、ワクチンや交差免疫を含む免疫が働きにくいことが感染拡大の主な要因と考えられています。
新型コロナウイルスは飛沫感染や接触感染以外に、エアロゾル感染が重要で、空間の通風・換気により感染対策を効果的に行うことができ、保育所などにおいても、こどもの感染をある程度抑えることが可能でした。しかしながらオミクロン株は感染性が高く、エアロゾル感染対策としての通風・換気を励行しても、飛沫感染と接触感染に対してお子さんはマスクや接触を避けることが難しく、このことがこどもの感染が急増した理由の一つとも考えられます（表）。だからマスクをこどもに徹底するべきというつもりはありません。
幸い、日本のこどもたちの重症化率は今のところ諸外国に比べ低いので（その理由は未だ不明ですが、BCGや種々のワクチンなどによる訓練免疫が一部寄与していると推測されます）、過度の心配は必要ありませんが、感染するリスクを考慮するのと同時に感染しないリスク（感染対策を続けることにより他の感染症への免疫力が低下することなど）にも注意する必要があるということを忘れてはならないと思います。
ＧＷ後に感染者が増加したとしても、重症化率、致死率の急激な悪化がなければ、少なくともお子さんを取り巻く環境においては日常を出来るだけ取り戻してあげたいと思います。