- 「マイコプラズマ肺炎」の流行状況
「マイコプラズマ肺炎」は“肺炎マイコプラズマ(mycoplasma pneumoniae)”という細菌による感染症で、3~7年程度の間隔で大きな流行が起きることが報告されています。2024年の流行は、周期的な流行の年となった2016年以来8年ぶりで、5月頃から報告数が増加し7月以降流行が拡大しています。新型コロナウイルス感染症の流行により2020~2023年は、多くの感染症の報告数が減少していましたが、“肺炎マイコプラズマ”も同様に、免疫を持たない成人や小児が多くなっていることが今回の流行の要因と考えられます。地域や学校・クラスでの流行状況に注意する必要があります。8年間流行がなかったことで、免疫の少ないお子さんたちが通常の2倍いるということで、今後もしばらくは流行が続くことが予想されます。”肺炎マイコプラズマ”にかかったお子さんの10%ぐらいが「肺炎」になると言われています。(下図をご参照ください)
- 「マイコプラズマ肺炎」の症状について
長引く発熱・乾いた咳(痰があまりからまない)などの症状がみられた際はかかりつけ医を受診しましょう。マイコプラズマ感染症は自然治癒することもありますが、肺炎に至る前の上気道炎や気管支炎の段階で検査などにより投薬が可能になることがあります。私たち最前線の臨床医は、“肺炎マイコプラズマ”による「マイコプラズマ肺炎」にならないように努力しています。
- “肺炎マイコプラズマ”の検査について
“肺炎マイコプラズマ”は下気道の線毛上皮細胞に付着し増殖するため、上気道(のど、鼻)の菌量は下気道にくらべかなり低く、咽頭(いんとう=のど)のぬぐい液を用いた迅速検査の感度は低く、発熱から3~5日目にならないとなかなか陽性にならないこともあります。
一方で精度の高い、核酸検査(PCR検査など)を実施する場合には、施設により検査結果が確定するまで数日を要することがあります。(最近では院内に多項目PCR検査の機器がある場合にはその日のうちに判明する場合もあります)。したがって、咳の様子や、マイコプラズマ肺炎の患者さんとの接触歴などから“肺炎マイコプラズマ”による感染症を疑って、治療を開始することもあります。
- 「マイコプラズマ肺炎」の治療について
軽症の場合は、自然治癒もありますが、肺炎をおこすなど、抗菌薬等による治療が必要と判断された場合は、第一選択として、マクロライド系(※)の抗菌薬が推奨されます。一方、“肺炎マイコプラズマ”のマクロライド系抗菌薬に対する耐性化が懸念されています。耐性率は地域や時期によって異なり、医師は地域の状況とお子さんの病状を勘案して薬剤を選択します。 指示された期間しっかりと飲み切ることが大切です。
マクロライド系抗菌薬が無効で、更に治療が必要と判断される場合は、ニューキノロン系(※)抗菌薬あるいはテトラサイクリン系(※)抗菌薬への変更が考慮されます。ただし、8 歳未満のお子さんには、テトラサイクリン系抗菌薬の使用は医師が必要と判断した場合に限られます。肺炎が重くなった場合には、ステロイドの全身投与も考慮されます。
※マクロライド系抗菌薬:クラリスロマイシンなど。
ニューキノロン系抗菌薬:トスフロキサシンなど。
テトラサイクリン系抗菌薬:ミノサイクリン、ドキシサイクリンなど。
- “肺炎マイコプラズマ感染症”の予防について
感染予防のために、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ対策と同じく、手洗いを励行して、空間の換気や咳の症状がある場合はマスクを着用しましょう。
”肺炎マイコプラズマ”と「マイコプラズマ肺炎」の違い(図参照)





