私は今までは中立の立場で、接種の努力義務についても様子見のスタンスだったのですが、７００例以上のCOVID-19症例を経験し、軽症ですが一部に後遺症とも思える症状が出現したお子さんや、お子さんから感染した保護者の方が後遺症に悩んでいるケースを経験しました。

最近、急性脳症の報告が増えてきたこと、ワクチン接種の副反応は軽症で、副作用も極めて稀であることが日本でもあきらかになってきたことから、５歳以上のお子さんには接種をお勧めしたいと思うに至りました。最近のメディアの報道をご紹介したいと思います。

新型コロナ 急性脳症で5歳未満の子どもが重症に 栃木 | NHK | 新型コロナウイルス

治療にあたった自治医科大学附属病院の村松一洋医師はNHKの取材に対し、「搬送時、お子さんは激しいけいれんと高熱で命の危険があった。急性脳症は子どもにとってリスクが高い疾患なので、まずは新型コロナへの感染を防ぐことが大切だ」と話しています。
小児科医でつくる日本小児神経学会によりますと、新型コロナの感染によって基礎疾患がないとみられる子どもが急性脳症になったという報告は、全国でこれまでにおよそ10例あるということです。

新型コロナによる急性脳症で子供死亡　医師が特徴や注意点を指摘 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

この女の子は新型コロナのワクチンが接種できる5歳以上だったが未接種だった。ワクチンは一定の新型コロナの感染予防効果が報告されていることから「5歳以上は接種を検討した方がよい」と勧める。県によると、亡くなった女児の保護者も、県が死亡例として公表する旨を説明したところ「怖がらないでワクチンの接種も考えてほしいと伝えていただきたい」と話したという。

港区における⼩児新型コロナワクチン接種の調査について (city.minato.tokyo.jp)

ワクチン接種後の日本での小児の死亡例は１例で、しかも特殊なケースであったことが報告されています。ワクチンの副反応は軽く、健康児で接種後に死亡したり後遺症を残した例は現在のところありません。

一方で感染による脳症は１０例報告され、そのうち１人は死亡していること（６月１０日さらに１例の追加報告がありました）。

亡くなった１例目の女児の保護者は「怖がらないでワクチンの接種も考えてほしいと伝えていただきたい」とメディアを通じてコメントしています。保護者のお気持ちを察するに余りあります。

保護者の中には、ご自身の接種の際に高熱や疼痛が強く出て、お子さんの接種をためらう方もいらっしゃるとは思いますが、港区のデータから強い副反応を示した例は成人に比べると極めて少ないことがわかります。感染防止の効果は弱いものの、重症化を阻止する効果は十分期待できます。感染者数の劇的な減少は難しい状況ですので、まだ罹患していないお子さんのいらっしゃるご家庭の方は、ご自身のワクチン接種（特に３回目）はもちろん、５歳以上のお子さんへのワクチン接種を是非ご検討ください。