このところインフルエンザが急増しています。併せてアデノウイルス感染症(一部咽頭結膜熱、プール熱)も増えています。当施設の1週間ごとの抗原検査陽性者数をご紹介致します。それに反して干渉作用のおかげでしょうか、新型コロナウイルス(Covid-19)陽性者は急激に減少しています。
さて2009年の新型インフルエンザ(パンデミック)現在FluAH1pdmを経験された保護者の方もいらっしゃるとは思いますが、今回のインフルエンザの流行状況はその時のインフルエンザ定点の変化と似ているとの報告がございましたので、ご紹介させていただきます。(東京都医師会感染症対策委員会)
当時は新しいタイプのインフルエンザに対して免疫のない集団での感染症でしたが、今回は既存のタイプですが、コロナ対策のおかげで大きなインフルエンザの流行がないために多くの小児で免疫が充分でない集団での感染という意味では似たような経過をたどる可能性があると考えられます。
小児と高齢者がメインの流行になりますが、学級閉鎖、休校などの措置をとることでピークは高くなく、期間が長くなる経過が予想されます。しかしながら、この時は、新型インフルエンザのため製造に時間がかかり、ワクチン接種がかなり遅くからスタートせざるを得なかったため、収束が遅れた可能性があります。一方で早期診断と抗ウイルス薬の存在で、重症化率、死亡率は諸外国よりかなり抑えられました。
今季のインフルエンザは流行の長丁場を覚悟する必要があるかもしれませんが、10月から始まるワクチン接種と、適切な抗ウイルス剤の投与、学級閉鎖などの併用で、医療逼迫を回避しながら少しでも収束が早まることを願うばかりです。現在A型インフルエンザはH3(A香港型)とH1(2009pdm)の2種類にl加えB型インフルエンザも出始めています。1度インフルエンザにかかっても2度、あるいは3度かかる可能性があります。すでに感染したケースの場合には、これといった定まった間隔はないものの、軽快後少なくとも1週間以上、できれば2週ないし3週ほどの間隔で接種されるとよろしいと思います。
インフルエンザやコロナウイルスは発熱してから6~8時間しないと抗原定性検査の陽性率は高まりません、できれば12時間~24時間経過すると抗原定性検査の結果はかなり信頼性が高くなります。
医療逼迫を避けるためにも、発熱から受診までのタイミングを参考にご受診ください。もちろん、様子がおかしい、けいれんしたなどの際にはお問合せください。
さて、この3年間コロナ禍をスタッフ一同何とか乗り切ってきましたが、これからも感染症をはじめ、様々な症状に円滑に対応するために、是非皆様のご理解とご協力をお願い致します。
院長 時田章史