インフルエンザの合併症には、中耳炎、気管支炎、肺炎、脳症、ライ症候群、心筋炎などが挙げられますが、インフルエンザが大流行している現在、肺炎と脳症に注意が必要です。
特に肺炎と脳症は急に重症化することがあります。
インフルエンザが重症化し、肺炎などの合併症をきたすリスクが高い人とは、喘息、免疫不全状態、慢性心疾患、糖尿病、慢性腎疾患、慢性肝疾患、血液疾患、癌治療中の患者さんなどの慢性的な病気を持っている人で、持病の悪化に注意する必要があります。
妊婦さんや出産直後の女性、乳幼児、高齢者、高度の肥満の人も重症化するリスクが高いとされています。
(1) インフルエンザに伴う肺炎
インフルエンザウイルス自体によるウイルス性肺炎と細菌性肺炎があります。
ウイルス性肺炎は3日以内に急速に進行し、呼吸不全になることがあります。発熱、呼吸困難、チアノーゼ(低酸素血症)が出現します。インフルエンザA型(H1N1pdm:2009年に流行した新型インフルエンザと言われたタイプ)の際に多くみられます。
症例 第2病日に左肺の肺炎から胸水が貯留し、急激な呼吸不全を呈して人工呼吸が必要になったインフルエンザA型の7歳男児例(自験例 2014年1月 FluA(H1N1pdm))

また細菌性肺炎は高齢者やハイリスク群に多く発症します。発熱やせきが長引いて、ウイルス性肺炎と合併するウイルス細菌混合性肺炎と、症状が一時的に軽くなった後に再び悪化する二次性細菌性肺炎があります。胸部X線検査や細菌学的検査を行います。
(2) インフルエンザ脳症
意識障害を主な症状とするとする病気で、小児に多く、急な経過で悪化し、死亡や後遺症を残すこともある重い合併症です。脳症の初発症状は、けいれん発作か意識障害(傾眠または異常行動または言動)です。高度な治療の可能な医療機関に搬送する必要があります。
2009年の新型インフルエンザの大流行(パンデミック)(現在は季節性インフルエンザA型(H1N1pdm))では学童期に多く発症し、軽度の意識障害や異常な行動が現れ、基礎疾患に喘息が多かったことが明らかになっています。
また、解熱剤のジクロフェナクナトリウムや、アスピリンなどは脳症の増悪要因とされ、小児ではこれを用いてはなりません。小児への解熱剤は原則アセトアミノフェン(製品名:カロナール、アンヒバ、アルピニーなど)がお勧めです。
今シーズンは12月に急激なインフルエンザの流行が始まり、大きな流行となっています、過去流行の大きさに比例して脳症の発生も増えていますので、注意が必要です。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/encephalitis-m/encephalitis-idwrs/12985-encephalitis-241119.html
流行の規模に比例して脳症報告数が増えていることがわかる。




